2010年10月2日土曜日

ユル・ブリンナーのCM



いまだに忘れられず、強く印象に残っている広告がある。それは肺癌で闘病中のユル・ブリンナーが禁煙を訴えるテレビCMである。余命を告知されていた彼は、自らの遺言として「タバコを吸ってはいけない」と訴えた。CMが実際に放送され、人々がそれを見たのは彼の死後のことだった。数々の映画に出演して名作を生んだ俳優の、人生最後の心の底からの訴えかけに、その当時多くの人たちが感動したことだろう。

それからのち、わたしは幾度も禁煙を試み、そのたびに諦め、再び禁煙するというドタバタを繰り返した。そしてタバコを吸わなくても平気という状態になるまでに10年かかった。成功のきっかけは体力維持のためにと、軽い気持ちで始めたジョギングだった。皮肉なことに、そのとき禁煙の意識はなかったが、長距離を走ろうと練習するうちに、自然とタバコを口にしなくなったのである。ちょうどタバコ1箱が220円の頃だった

タバコを吸っていた頃の家計簿を見返すと、平均して1週間に10箱、1年間に500箱くらいは吸っていた。今にして思うが、こんなに大量のタバコを吸っていたなんて、やっぱり尋常じゃなかった。そして偶々であるにせよ、自然にタバコ離れできたことは本当に幸運だったと思う。日本では、減少しつつあるとはいえ、いまだ男性の三分の一以上が喫煙者である。そして今月からタバコの大幅値上げ。こんどこそはと禁煙にチャレンジする人も多いことだろう。そういう人のために、ユル・ブリンナーのCMを是非ご覧いただきたい。

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